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早期連系追加対策

【2025年4月開始】系統用蓄電池の新たな接続ルール「早期連系追加対策」を徹底解説!ビジネスチャンスと注意点

脱炭素社会の実現に向け、再生可能エネルギーの導入を支えるキーテクノロジーとして「系統用蓄電池」への期待が急速に高まっています。政府の補助金制度やオークションの実施を背景に、蓄電池ビジネスへの参入を目指す事業者が急増しており、電力系統への接続検討申込は驚異的な伸びを示しています。

経済産業省の資料によると、2024年12月末時点での系統用蓄電池の接続検討受付量は約9,500万kWに達し、これは前年同月末比で約3.5倍という爆発的な増加です。特に東北、東京、中国、九州エリアでの増加が顕著で、電力系統の容量不足が、事業開始の大きな障壁となりつつあります。

こうした状況を受け、経済産業省は系統増強工事を待たずに、より迅速に蓄電池を系統連系させるための新たな暫定措置として「早期連系追加対策」を導入し、2025年4月からの接続検討に適用する方針を固めました。

本記事では、この新たなルール「早期連系追加対策」が蓄電池ビジネスにどのような影響を与えるのか、事業者が押さえるべき重要ポイントを、経済産業省の最新資料(2025年3月17日公表)に基づいて徹底解説します。

「早期連系追加対策」とは?系統増強を回避する新たな選択肢

「早期連系追加対策」とは、送電網の増強工事を行わずに系統用蓄電池の接続を可能にするための追加的な暫定措置です。

その核心は、**「事業者が特定の時間帯における充電制限に同意すること」**を前提に、系統接続を認めるという点にあります。

これまで、系統の空き容量が不足する場合には、数年にわたる大規模な増強工事とその費用負担が求められるか、「N-1充電停止装置」といった既存対策を導入する必要がありました。しかし、申し込みの急増により、既存対策だけでは対応しきれないケースが増えています。

今回の追加対策は、系統が混雑する時間帯の充電を事業者が自ら制限することで、系統への負担を回避し、工期とコストを大幅に圧縮して事業を開始できる、新たな選択肢を提供するものです。

ただし、この対策はあくまで将来の本格的な接続ルールが整備されるまでの「暫定措置」と位置づけられています。

【事業者必見】適用の詳細と押さえるべき8つの重要論点

この新制度を活用してビジネスチャンスを掴むためには、その詳細なルールを正確に理解することが不可欠です。経済産業省は、以下の8つの主要な論点について方針を示しています。

  • 1適用の対象は?

    適用系統: 基幹系統およびローカル系統(配電用変圧器を除く高圧以上)が対象です。
    適用電源: 系統から充電を行う系統用蓄電池(併設蓄電池を含む)が対象となります。
    注意点: 低圧で連系する蓄電池は、管理対象が膨大になる可能性があるため、当面は対象外とされています。

  • 2どんな場合に適用できる?

    この対策は、既存の対策(N-1充電停止装置など)を適用しても、なお系統増強が必要となる場合に限定して適用されま。事業者が任意に選択できるわけではなく、あくまで系統増強を回避するための最終手段という位置づけです。

  • 3充電制限の具体的な条件は?

    設定方法: 後から連系する事業者のために、先に連系した事業者の充電制限条件が変更されることはありません。後着事業者は、先着事業者が利用している分を除いた残りの容量枠で制限条件が設定されます。
    更新頻度: 事業者の予見性を確保するため、充電制限の条件更新は年1回が基本とされています。これにより、安定した事業計画の策定が可能になります。

  • 4充電制限時間に上限はある?

    過度な制限は事業性を損なうため、1日あたりの充電制限時間の上限は12時間が目安として示されました。これは、蓄電池が各種電力市場で求められる「連続3時間以上の供給力」などを確保するために、十分な充電機会を担保する観点からの設定です。

  • 5事業性をどう判断すればいい?

    事業者が事前に投資判断を下せるよう、接続検討の回答時に、一般送配電事業者から想定潮流に関するデータが提供されます。この情報を用いて、充電制限が課される可能性のある時間帯や量を試算し、事業性の評価を行うことが可能です。

  • 6既存の対策や系統増強との関係は?

    併用可能: N-1充電停止装置などの既存対策と、今回の早期連系追加対策を併用することで、連系可能な容量をさらに拡大できます。
    増強との選択: 後から連系する事業者が、本対策ではなく系統増強を選択した場合、その事業者が負担する費用で増強工事が行われます。その際、先に本対策で連系した事業者の充電制限条件が緩和されることはありません。

  • 7市場制度への参加はどうなる?

    本対策を適用した蓄電池も、各種電力市場への参加は可能です。
    ただし、充電が制限されることを前提に、制約の範囲内で市場要件を達成する必要があります。充電制限を理由に要件を満たせなくても、原則として免責されない点に注意が必要です。

  • 8費用負担と同意事項は?

    費用負担: 早期連系というメリットを享受するのは蓄電池事業者であるため、対策の実施にかかる費用は事業者が負担するのが原則です。これには、充電制限による機会損失や、制限機能を持つシステムの導入・保守費用などが含まれます。
    同意事項: 契約にあたり、事業者は指定された制限の遵守、必要なシステムの導入、将来のルール変更への承諾などを盛り込んだ同意書を提出する必要があります。
    今後の展望:暫定措置の先にある「ノンファーム型接続」へ
    今回の「早期連系追加対策」は、あくまで足元の接続申込急増に対応するための「暫定措置」です。経済産業省は、将来的には系統用蓄電池の持つ柔軟性や機動性を最大限に活かせる、より本格的な接続ルールの導入を急いでいます。

    その有力な選択肢として検討されているのが**「ノンファーム型接続」**です。これは、送電線の空き容量を前提とせず、混雑時には出力を制御することを条件に接続を認める考え方で、発電所の連系では既に導入されています。

    イギリスの「Five Point Plan」やアメリカのFERCによる制度改革など、海外でも蓄電池の柔軟な接続ルールに関する議論が活発化しており、これは世界の潮流となりつつあります。

まとめ:蓄電池ビジネスは新たなステージへ

系統用蓄電池市場は、大きな変革期を迎えています。2025年4月から始まる「早期連系追加対策」は、系統増強の費用と時間をかけずに事業を開始できる、またとないビジネスチャンスを提供します。

しかし、その裏側には「充電制限」という事業運営上の重要な制約が存在します。提供される系統情報を基に、この制約下でいかに収益を最大化できるか、精緻なシミュレーションと事業計画が成功のカギを握るでしょう。

さらに、今回の措置が暫定的なものであることを念頭に置き、将来の「ノンファーム型接続」といった恒久的なルール変更を見据えた、柔軟かつ長期的な視点を持つことが、これからの蓄電池ビジネスで勝ち抜くために不可欠です。

出典:
経済産業省 資源エネルギー庁 (2025年3月17日) 「系統用蓄電池の迅速な系統連系に向けて」

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